いかがお過ごしですか?
朝晩 爽やかになってきましたね。
40代、Cさんのお話です。
お父さんが老人ホームに入所されています。
目次
**不思議な状態
Cさんのお父さんは容態のアップダウンが激しく
昨日できていたことが今日できない、
今日できないことが次の日にはできてる・・・
それも会話が続いていたのが次の日は喋れない・・
などという緩やかな変化ではなく
昨日までコップから水が飲めていたのが今日は飲めない、
なのに次の日には飲めるし、人に説教を始める。
喋りかけても無反応で 体も動かず、死んだ魚のような灰色の目になっているのに
次の日にはけろっとしている。
そういう不思議な状態でした。
お医者さんも理由は分からず 手の打ちようがないのです。
**いつどうなるか分からない
けれど いつどうなるか分からないので
Cさんは毎日老人ホームに通い、
お父さんの様子を観察していました。
老人ホームはいつも人手が足りません。
お父さんが急に自分でお茶が飲めなくなっても
すぐに気づいてもらえることは 難しいのです。
脱水症状で危険な状態になるかもしれません。
**ほったらかしにできない
Cさんにも仕事があり、子どももいます。
自分の父親のことで忙しいからと言って
子どもをほったらかしにすることはできないし、
お父さんをほったらかすこともできない・・と疲れておられます。
そしてお父さんも頭がはっきりしている時はCさんの訪問を
今か今かと待っています。
毎日、パートが終わってすぐ、4時に老人ホームに行きます。
それが4時10分になることもあります。
**怒るお父さん
そんな時、元気な状態のお父さんは
老人ホームの玄関の所に車椅子で待ち構えていて
仁王様のような顔をしています。
Cさんが10分遅れたことに怒っているのです。
「お前は!!人の時間をなんだと思ってるんだ!」
と お父さんは怒鳴ります。
「ごめんね」
と Cさんは謝りますが お父さんの怒りは収まりません。
「時間を守らないのは 人として恥ずかしい事だ!!」
確かにお父さんは若いころから時間に几帳面な人でした。
**ぼんやりするお父さん
かと思うと、Cさんが4時10分に到着して、
また怒っているだろうなあと恐る恐る老人ホームに行くと
お父さんは認知症の老人のように無表情でベッドに横たわり
Cさんの顔を見てもぼんやりしていたりします。
**「なぜ生きる」
読書家だったお父さんはたくさん本を読んでいて、
お気に入りの本は老人ホームに持って来ています。
Cさんがお父さんの部屋を訪れる度
一冊の本の題名が目に飛び込んできます。
その題名は
「なぜ生きる」
・・・・・・・。
Cさんは
「これはもしかして シニカルなお父さんの
ブラックジョークでは???」
と、思うそうです。