亡くなる直前の夕日

介護問題

いかがお過ごしですか?

今日も心明るい一日をあなたが過ごせますように。

 

目次

**命が短くなる薬**

私の母の話です。

母はパーキンソン病を発症してから15年で亡くなりました。

 

これはこの病気の平均的な年数らしいです。

「薬を飲んで病気の進行を抑えたら 命は短くなりますが

飲みますか?」

とお医者さんに聞かれ、母は飲むことにしたのです。

 

飲み始めた時点で余命14~5年という説明を受けたそうです。

母からの又聞きなので もしかしたら正確ではないかもしれません。

 

薬を飲んで進行を抑えられたか?というのは

比較できないので分かりませんが、

たぶん抑えられたんだと思っています。

 

**健康にがっかり**

寝たきりになってからは

健康診断で

「パーキンソン病以外は特に問題なし」

と 結果が出ると 母は心底がっかりしていました。

 

やはり、寝たきりで生きているのが

辛かったのだと思います。

 

**元気だった頃の母の目**

ある日の夕方 母が明るい目をしていました。

顔の表情はもう動きませんけれど、

目の輝きが元気だった頃の母を思い出させます。

 

「どうかしたの?」

と聞くと、小さな小さな声で

「夕日」

と言いました。

 

**夕日のオレンジ色**

確かに綺麗な夕焼けが出ていました。

空は一面オレンジ色で浮かんだ雲には紫の影が入っています。

 

昔の人が極楽浄土は西にあると信じたのは

夕日がこんなに迫力ある美しさを持っているからかもしれない・・

そう思わせるような夕焼けでした。

 

でも・・・

母のベッドは確かに窓際に置いているけれど

頭も動かせなくなった母がどうして逆方向の夕焼けが見えたのでしょう?

 

私は もしかしたら また幻覚を見たのかな?

と一瞬考えました。

 

母の小さい頭に自分の顔を近づけて

母の目線をたどると

母が見える角度に置いたテレビの画面に

鮮やかな夕焼けが映っているのが分かりました。

 

消したテレビの黒い画面に映った夕焼け。

母はそれを見て目を輝かせていたのです。

 

見事なオレンジ色でした。

 

**命の力**

こんな状態で、こんなささやかなものを見て、

それでも人間は感動するんだなと思いました。

これが命の力なんだと思いました。