いかがお過ごしですか?
延命措置について心の準備を
されてらっしゃる方、
胃ろうについては
どうお考えですか?
目次
「念のため」の気軽な入院
50代女性K子さんのお話です。
老人ホームで暮らすお父さんが
入院されました。
前日から微熱があったので土日に入る前に
病院に連れて行くと、
軽い肺炎と診断され
念のため2~3日入院することになったのです。
午前中に入院して
夜にもう一度K子さんが病院に行ってみると
お父さんの熱は39度近くに上がっていて
やっぱり入院させて良かったと思いました。
意識の混濁
そして次の日、
お父さんの意識が混濁してきました。
言葉もはっきりしないし、
意味不明なことを喋ります。
お父さんの聞き取りにくい話を繋ぎ合わせると
病室はどこかの農家の屋根裏で
お父さんは窓から人が歩いて来るのを
ずっと見ているらしいのです。
お父さんの記憶の中のどこかに
そういう場面があったのでしょうか?
もしかしたら お父さんがまだ小さい子供の頃の
ことかもしれません。
実際は点滴に繋がれて
身動きもできない状態なので
窓の外など見れるわけは無いのです。
胃ろうの説明
嚥下は完全にできなくなっていました。
喉の奥にに口内清浄用のスポンジを
グイグイ突っ込んで刺激しても
なんの反応もありません。
2週間位してから
お医者さんから胃ろうの説明を受けました。
「胃ろうをしなければどうなりますか?」
と聞くと
徐々に弱って2ヶ月位で亡くなられます、
との答えでした。
「延命処置はしない」のは本人の希望
K子さんはお父さんが元気な頃に
ちゃんと話し合い、
延命処置はしないと決めていました。
「そんなもので1日2日
命を延ばす必要はない」
と、お父さんもはっきり仰っていました。
つい最近まで 足腰は弱っているものの、
しっかりしたお父さんだったのです。
でも、延命処置について、
お父さんもK子さんも
亡くなる寸前の人工呼吸器や心臓マッサージのことだけしか
想定していなかったのです。
胃ろうの決断
胃ろうを「やらない」と決断することは
K子さんにはできませんでした。
胃ろうで体力が回復したお父さんは
リクライニングできる
ベッドのような車椅子で
老人ホームに戻ってきました。
1日に2回 胃の所に造設したpegから
栄養満点のどろどろした食事を
注入して今も「生きて」います。
けれど もう会話もできないくらい
頭が呆けてしまいました。
「お父さん!」
と呼びかけても
薄目を開けるだけで、答えは返ってきません。
そんな状態で2年が経ちました。
プライドの高かったお父さんの
変わり果てた姿を見る度に
「胃ろうをしたのは間違いだったのでは?」
K子さんは自分を責めていらっしゃいます。
あなたは間違っていない
私は間違いではなかったと思います。
胃ろうをするのかしないのか
K子さん1人が決めなくてはいけませんでした。
K子さんのお父さんのことは
K子さんの決定が正解です。
胃ろうについて 自分を責めるのは
もう止めた方がいいと思います。
いろんな環境や
いろんな立場があります。
他人の意見もいろいろです。
正解はただ1つではありません。
胃ろうをすると決めても
しないと決めても
あなたの決定が 正解です。
間違ってはいません。
受け応えができなくても
お父さんの手はまだ温かいでしょう?
自信を持って会いに行ってあげてください。