老いた親の手足をベッドに括りつけて笑う私・・観察室の阿鼻叫喚

介護問題

これから書くのは
私の経験談です。

目次

観察室

父が肺炎で入院した病院では、
病室で点滴の管を
自分で引き抜いたり、

大声を出して他の患者さんに
迷惑をかける老人を
ナースステーション横の
観察室で看護します。

 

その日、私が病院に行くと
父は観察室に移されていて、
手首と足首をベッドの柵に
くくりつけられていました。

 

肺炎にも関わらず
ベッドの上で運動しようとして
点滴をはずしてしまい、
ベッドは血だらけになったとの事。

 

その為 夜中に
観察室に移されたらしいです。

 

総入れ歯を外され、
何を言ってるか分からない父は
死の直前のうわ言を
言っている様に見えました。

 

私を見ると興奮して
フガフガと話しかけます。

 

入歯を入れてあげると
「背中や腕が腐りかけているので
 乾布摩擦をしてくれ」
と言うのす。

 

観察室の同居人

観察室には他に
2人のお婆さんがいました。

 

「看護婦さあああん、
 看護婦さああああん!!!
 痛い~~~。これをはずして~~~」
と叫ぶお婆さんが1人。

 

もう1人は
「厠に連れて行ってください。
 どうしてこのような
 虐待をするのですか!」

 

「人間を依怙贔屓してはいけません。
 例え天皇陛下であろうと 
 このようなことは絶対
 神様が許しません。」

 

「長年の習慣で 
 厠じゃないとおしっこが出ません。」
と、断固抗議している
お婆さんです。

 

 

「痛い~~」と絶叫する
お婆さんは、
どこにも繋がれていないし、

凛とした声で抗議している
お婆さんは
導尿されているので
トイレに行く必要は無いんです。

 

2人とも、いや、
父も含めて3人とも
「老いさらばえている」
と思いました。

 

「さらばえる」って
語感として 
とっても的確な言葉だと
思います。

 

ものすごく痩せていて、
肌蹴た胸の肋骨が見えて、
まさに
「さらばえている」って感じ。

参ったなあ

どうも私が観察室に入って来て 
父の世話をしていることが
2人のおばあさんの感情を
刺激してしまったらしいのです。

 

叫ぶおばあさんは
ひっきりなしに叫ぶし、
抗議及び説教するおばあさんは 
ますます人としての道を説き始める。

 

こりゃ参ったなあと思いました。

 

そしたら説教ばあさんの声音が
ガラリと変わり・・

 

「あら、美しい人が手招きしてる。
 なんて美しい所。
 丸顔で、笑っている」
とか言いだしました。

 

私はゾクッとして
「ありゃ、死ぬのかな?」
とお婆さんを見ました。

 

呼応し始める2人

焦点の定まらぬ目をした
お婆さんの喋りは続きます。

 

「ああ、誰かおじい様の声が聞こえる。
 なんて暖かい声でしょう。
 まああああ、すごい。
 人徳でしょうね。声で分かる。」

 

へ???

暖かいおじい様の声って 
うちの父の声のこと?
乾布摩擦をせい!と
フガフガ言ってる、この声?

 

そしたらもう1人のお婆さんが
私を看護師さんと間違えたのか
「早く~~、
 痛い~~~痛い~~~
 これをはずしてくださあああああい」
と叫ぶ。

 

婆1:
「あらまあ、今度は女の人の声が。
 鈴を転がすような、玉のような声。
 素晴らしい。」

 

婆2:
自分の事だと思ったのか、
さらに大声で、
「痛い~~、痛い~~、
 眼鏡~~~~~
 眼鏡が無い~~」

 

婆1:
「なんて美しい声でしょう。
 お人柄がにじみ出てます。」

 

婆2:
何故かちょっと気取った声になり
「看護婦さあああん、
 看護婦さ~~~~~ん」

 

婆1:
「まあああ、さすが~。
 鈴を転がす~~~」

 

2人のお婆さんが
大声で呼応し始めたんです。

大笑いしたって構わないや

それまでその観察室の
独特なニオイと
けたたましい老人の声に
辟易して・・

 

「これ以上、耐えられない!」
と思っていたんですけど・・

 

もう、笑っちゃいました。

 

「いいやもう、
 大笑いしたって構わないや」
そう思いました。

 

しばらくすると
美しい声を褒め称えていた
おばあさん(婆1の方)は
自分のオシッコの事を思い出したようでした。

 

「人間の嫉み、妬み、
 そのようなものを神様が
 どう観られるか!」

 

「それをちゃんと
 分からなきゃいけない。
 だれでも平等!」

 

「早くぅ、はやくぅ、
 おしっこに連れてってくださ~~~~い」
と けたたましく
喚き始めました。

 

私は その大声を
背中で聞きながら
「耳の周りを布で擦れ。
肩甲骨の後ろを擦れ。
もっと力を入れろ」

「身体が腐る、腐る、
 大変なことになる!!」

と、フガフガ言っている
父の言うとおりに
乾布摩擦をしてあげました。

笑ってなきゃやってられない

病院から帰る時に
父がまた点滴を抜いてしまわないように
元通りに手足をベッドの柵に
括りつけようとしました。

 

もちろん父が
了承するわけがありません。

 

30~40分説得しましたが、
私は疲れてしまって、
もう構わないやと思い、

父の左手と左足首のバンドを
力づくで柵に括りつけました。

 

筋肉の無い、細い手足は
非力な私でもたやすく
思い通りになりました。

 

縛り付けたと言って
血相変えて怒っている父に
背を向け、

お婆さん達の
絶叫を聞きながら
スタスタと観察室を
後にしました。

 

その時、笑えてきました。
いいえ、正確には
無理に笑いました。

 

老いるというのは醜いし、
恥ずかしいし、大迷惑だし、
可笑しいです。

 

誰でも、老いていきます。
だから
人の老いを笑っちゃいけないと
ずっとずっと思ってました。

 

でも、
笑ってなきゃ 
やってられない時も有りますね。

私が介護されるようになった時に 子供に言いたい事

子供達へ。
いつか私が観察室で喚く様になれば
どうぞたくさん笑ってください。

 

あまり深く考えないで!

 

出来るだけ笑って、
心をうやむやにしながら
流して行かなければ
心がやられてしまいます。

 

私も今、出来るだけ
親の老いと右往左往する自分を
笑おうとしています。
神様は赦して下さると思います。

 

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