自分が毒親にならない為に必要な事は?思い出した 死ぬ直前の母の記憶

子育て

目次

玄関で声がする

昨日の朝
鍵を閉めていなかった玄関で
年老いた女性の声がしました。

 

朝の9時ころ
私はPCに向かっていました。
届いたメールに
急いで返信したかったのです。

 

まだお化粧もしておらず
髪もろくに梳かしていませんでした。

 

玄関から何か物音がします。
「ん?」と思い耳を澄ますと
年老いた女性の小さい声が
聞こえました。

 

急いで玄関に行くと
ドアを細く開けて
外からお婆さんが
何か言っています。

 

 

ドアを開けると
「病院に行きたかったけど
タクシーの運転手さんが
この前で降りてくださいって
言われて・・」

と仰います。

 

小さなお婆さん

白髪で背中が少し曲がっていて
色白の小さなお婆さんが
杖を突いて立っておられます。

 

背の低い私を
見上げる小さいお婆さんの顔を見て
私はなぜかドキっとしました。

 

「病院ならすぐそこですよ。」と
お教えして
玄関のドアを閉めましたが
私の胸はザワついたままでした。

 

ソファに腰かけて
はっと思い当たったのは
そのお婆さんが
私の母に似ていたという事です。

 

 

母が病気にならずにまだ生きていたら
たぶん今のお婆さんみたいに
なっていたはずだと
思いました。

 

母の謝罪

その時に
亡くなる前に母が私に言った言葉を
ふと思い出しました。

 

もう寝た切りではあったけど
まだゆっくりなら喋れた母が
「あなたを 小さく小さく育てて
 ごめんね」と。

 

私はその時 どういう意味か
一瞬考えました。
確かに背は低い方だけど?

私は子育ての失敗作?

母はこう続けました。
「アナタが生まれつき
 怖いもの知らずで、
 私は育てるのが怖くて・・」

 

「無鉄砲な事ばかりするアナタを
 安全に、失敗しないように
 育てようとして・・」

 

 

「え!?」
私は自分が
怖いもの知らずだなんて
思ったことは有りません。

 

むしろ、気が小さくて
何でも怖がるタイプだと
思っていました。

 

「私って小さい頃
 怖いもの知らずだったの?」
と聞くと母は頷きました。

 

「じゃあ、お母さんは
 子育てに失敗して
 私がその失敗作?」
 母はまた無表情に頷きました。

 

ええとー。
そんな事 今頃言われてもーー。

 

「失敗作でも
 私は まあまあ幸せだから。
 安心して。」
と言うと母はまた頷いて目を閉じました。

 

 

喋るのも ままならなかった母が
一生懸命告げてくれた言葉・・

 

間違えて玄関に入って来た
お婆さんを見て
私は思い出したのでした。

 

どんな気持ちで?

母はあの時どんな気持ちで
私に謝ったのかしらと思います。

 

「失敗しないように、
 小さく育ててしまった娘」に、
自分も自分の夫も
生活を委ねなくてはならなくて
心苦しかったのかも知れないです。

 

雑多なことを我慢しながら
両親の面倒を見る私が
哀れだったのかも知れません。

 

頭は最後までハッキリしていた母でした。

 

そして寝たきりになったからこそ
本当はどういう人生を自分が望んでいたか、
どう生きたら後悔が少なかったのか、
辛い気持ちで考えていたのでしょう。

 

 

その考えが
娘である私への謝罪となったのだと
思います。

 

失敗作でも幸せです

お母さん、いいのいいの。
小さくしか育たなかった私だけど
それでも充分幸せは有ったから。

 

「大きく」育っていたら
取りこぼしてしまった小さな幸せも
有ったでしょう。

 

けれど お母さんが謝ってくれたから
私の心の中にある、
「母性」とは真反対な物の
正体が分かりました。

 

謝って貰えて、
コンプレックスが
1つ消えたと思います。

 

娘に謝るなんて、自分の子育てから
目を逸らさなかったと言う事です。

 

年をとっても傷つきやすく
図太くなり切れなかった
母でしたけど
芯は強かったのかもしれません。

 

「小さく」育とうと
「大きく」育とうと
私が幸せを感じられるのは
産んでもらって、今生きているお陰です。

 

ただ1つの事から逃げなければ大丈夫

私も自分の育児で
後悔と反省がたくさん有ります。

 

もしかしたら
私も毒親なのではないか・・
と自分を振り返る事も有ります。

 

子供に自分の考えを
押し付ける様な事や
思いやりの無い事を
いろいろとして来ました。

 

自分のやって来た事で
人に悲しい思いをさせたとしたら
その人に謝るべきです。
それが例え親子間であっても。

 

自分が毒親のままで死ぬか、
子供と心が通じ合って
「ありがとう」と言われて死ぬか・・
そんな事を考える年齢に私もなりました。

 

子供の頃は嫌だなと思う所も
あった母ですが、
死ぬ直前に思いもよらぬ
強さを見せてくれました。

 

お母さん、謝ってくれて
ありがとう。

 

 

あなたが自分の親子関係を見直してみたい時、
もう亡くなってしまった人の本当の人となりを
知りたい時は、
どうぞご相談下さい。