目次
学ぶべき事を決めて生まれてきた？
私の父は入退院を繰り返しながら
命を長らえ、９０歳を超しました。
頭もそれなりに
ぼんやりして来ました。
最近入退院のスパンが短くなり
もうダメか、と何度も何度も
思いますが
その度に復活して、
元気になれば毒の有る言葉を
撒き散らします。
私は最近、
人はそれぞれ学ぶべき事を決めて
生まれて来るのでは？と
思ったりします。
私が学ぶべき事は何だろう？
そして父が学ぶべき事は何だろう？
と思います。
父の学ぶべき事は？
父は華やかな人でした。
背が高く、見た目が良く、
学校の先生をしていました。
昔の教師は父兄からも生徒からも
１目置かれて、威張っていました。
今の父には生きる喜びも目的も
有るとは思えません。
施設に入っていて
介護をしてくれる人の言葉遣い、
所作、小さな失敗を数えて、点数を付け
馬鹿にしています。
最後の楽しみである「食」も
食欲はあるのに嚥下が出来ず
胃にあけた穴から
栄養を取っています。
「父は何を学び終えたら
死ねるんだろう？」
と考える事が有ります。
もちろん、私にはその答えは
分かりませんが、
心からの感謝と謙虚さでは
ないかな、と想像しています。
父は自分がどう見えるかを気にします。
人の居る所では
信心深い好々爺の顔で
両手を合わせるのです。
そして部屋に私しか居なくなると
口汚くその人の悪口を
言い募ります。
それを聞く時、
「父はまだまだ死ねないだろうな。
こんなに人生に絶望しているのに・・」
と思います。
私の学びは？
「それでは私が学ぶべき事は
何だろう？」と考えます。
その中の１つは
自分の考え方、生き方を
自分で選び、コントロールする事かも知れない、
と最近思います。
親に対しても、
自分の子供に対しても
私は被害者意識を
持っていた様な気がします。
もちろん大事な親であり
大事な子供です。
けれど
「親のせいでやりたい事が
出来なかった」と恨み・・
「子供のせいで自分の事は
後回しにした」と言い訳に使い・・
自分の人生を生きる事から
逃げていた気がします。
どんな状況でも
私の人生の選択は自分でしてきました。
でも・・選択をする時についつい、
自分を被害者だと思う様な選択を
自分でして来たのかも知れない、
そうせずには居られなかった
シコリのような物が
心に有ったのかも知れない・・
と最近思います。
老いて衰えた父親への手紙
お父さんへ
もう、人の目に自分がどう映るかを
気にするのは止めて、
素直に今の自分の状態を
受け入れてみる・・っていうのは どう？
自分が人のお世話になる事は
プライドの高いお父さんにとっては
辛いかも知れないけど・・
歩けなくてもオムツでも
頭が回らなくても
何もかもが人よりも劣っていても
皆がお父さんに優しいの。
お父さんが優秀な人でなくても
耳が聞こえなくても
見た目が醜くなっていても
皆がお父さんに優しいの。
安心して、今の自分を受け入れて
生きてもいいと思うよ。
もう、人を貶して
自分が上に立とうとしなくても
良いんだよ。
今の自分が何も出来ないことを認めて、
何も出来なくても
周りの人が自分の為に
心を砕いていてくれている事に
気付いたら・・
本当の感謝が、分かるかも知れないよ。
それが分かった時、
お父さんの望み通り
死ねるかも知れないよ。
けれどこんな言葉は
今のお父さんの脳には届かないね。
お父さん、ご苦労様。
生きているって大変だね。
私も同じ
私も偉そうな事は言えないのです。
考え方のしこりが
私の心のいろんな所に
まだまだたくさん残っています。
父に会う度
自分のしこりに気付きます。
でも私は、それらを1つずつ
退治していくつもりです。
今の父の価値はもしかしたら、
私に気付きを与えてくれて
私を強くしてくれる事かも知れない
とも思います。
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