寝たきりの母がくれた・・ありがとうと言う幸せ

介護問題

目次

寝たきりに向かってまっしぐら

私の母は 認知症ではありませんでした。

 

最後は肺炎で亡くなりましたが

15年間、パーキンソン病と共存し、

身体中の筋肉が弱りきって

亡くなりました。

 

発症は まだ私が

子供を産む前でした。

 

ひとつひとつ 

出来ない事が増えていきます。

 

手先の器用だった母は

編み物が得意でした。

難しいものほど

喜んで編んでいました。

 

パーキンソン病は

大概最初は手が震え始めますから、

編み物は最初に

出来なくなりました。

 

歩くのが難しくなり、

トイレの後もパンツを上げられなくなり、

転んで前歯を折り・・

 

寝たきりに向かって

まっしぐらです。

パーキンソン病で介護度5の母だけど・・

そして最後は喋れなくなりました。

 

でも 認知症ではありませんから、

頭の中は娘の私よりも

よっぽどクリア。

 

表情筋も動かなくなってましたから

見た目は完全に何も考えてない、

分かっていない、

植物人間のようです。

 

でも家の中の備品や滅多に使わないお皿、

何年も前のメモ書きの場所と内容など、

全部覚えていました。

 

頭がこんなにもクリアなのに

自分の身体が

ピクリともしないなんて

残酷な事です。

ありがとうの言葉は幸せをくれる・・どんな時でも

でも 母の人格が

最後まで壊れなかったのは

私にとって幸せな事でした。

 

口が小さく、何か動いているような気がして

「ん?」と聞くと

また、小さく口が動きます。

「ん?」

また動きます。

 

6回も7回も繰り返して・・・、

 

母が私に

「ありがとう」と言ったのが分かりました。

 

今、介護をされている方の中には

この一言の

「ありがとう」が聞けたら、

どれだけ救われるだろう・・

 

そう感じてらっしゃる方も

たくさんおられますよね。

 

私は 幸せだったと思います。

 

最後に私が伝えた言葉も・・

人が亡くなる瞬間を

じっと見た事が

有りますか?

 

私は2度有ります。

母の時と叔母の時。

今まで生きていて、

ふっと命が消える瞬間。

 

私は母の命がふっと消える時

「ありがとう!!」と

言いました。

 

母はちゃんと受け取ってくれたと

思います。

 

その瞬間に「ありがとう」が言えて

やっぱり私は幸せ者だと思います。