目次
20代の頃の仕事仲間
その人は仕事の出来る女性でした。
親切な人で、どこがどうと言うのではないけど
じわじわとした魅力のある
ハスキーボイスの女性でした。
昔の男の人のように
口の横でタバコを加えて
車の運転をする人でした。
いろんな事に詳しくて
オタク気質で
凝りだすと止まらない・・
そんな魅力的な人でした。
幼い頃の話を聞いて
彼女のご両親は
仕事をバリバリこなす人達でした。
だから小学校低学年の頃から
年子のお姉ちゃんと家に2人っきり、
という事が多かった、
と言う話を聞いた時の事です。
「え？夜も？お父さんもお母さんも
夜も帰って来なくて、
お姉ちゃんと2人だったの？」
と私は聞き返しました。
「そうなんだよ～。」
とても軽い感じで
彼女は返事をしました。
私は深くも考えず
「それはちょっと寂しかったね。」
と言いました。
すると彼女は
「全っ然！皆そう言うんだけどさ、
それが普通って思ってたから
寂しいとか感じた事ないんだよ。」
と答えました。
その時に私は
あれ？・・と違和感を覚えました。
けれどその違和感はそのままに
会話は進んで行きました。
そして私は
自分が違和感を感じた事は
忘れていました。
キャリアウーマンで自慢のお母さん
彼女のお母さんは
とても優秀な人で
何かの売り上げで
日本1位に何度もなった事が有る・・
彼女はそう教えてくれました。
「それで、料理が上手で
何かイベントが有る時には
ものすごいご馳走を
たくさん作ってくれて、
すっごく美味しかった」・・と。
世の中には
そんなお母さんも居るんだな、
若かった私はそう思いました。
私の母親はお洒落もせず
ずっと家に居て、
1番ハイカラな料理は
トンカツでしたから。
年取った母親との喧嘩
彼女は自分が40歳を過ぎてから
都会で1人暮らしだった母親を
呼び寄せました。
お母さんの荷物が多すぎて
困っちゃう、と
言っていました。
一緒に暮らし始めると
やはりお互いに我儘も出ます。
お母さんは自分の意見を曲げない人で
彼女からの話だけ聞くと
あまりにも自分勝手な母親なのでは？と
私には思えました。
それでも普通の母と娘の
親子喧嘩だろうと
思っていました。
不自然な仲直りの仕方
でも、有る時、彼女から
「仲直りする時はね、
ママごめん、ママごめんって
背中から抱き着いて
ずっと言うんだよ。」
「そしたら許してくれる」
と聞きました。
それを聞いた時に
昔聞いた「全っ然！寂しくないよ～」
と言った彼女の言葉を
パッと思い出しました。
あの答え方は、不自然でした。
やっと違和感の理由が分かりました。
彼女が「全っ然！・・」と答えるまでに
1秒も間が無かったのです。
それまでのやり取りの間よりも
とても短かったのです。
お母さんとの喧嘩で
謝るのはいつも彼女の方でした。
「こっちが大人にならないとね」
と彼女は言っていました。
私はそれを聞いて
とても悲しくなりました。
40歳も過ぎて母親に抱き着きながら
「ママごめん」と繰り返す謝り方。
自分が悪いなんて思ってないのに
「許して貰う」ことを望む、
喧嘩状態に耐えられない娘。
そして結局いつも母親の意見だけが
通るのです。
意見と言うと聞こえは良いけれど
私には理不尽としか思えない我儘でした。
今、思い出しても
やっぱり悲しい気持ちになります。
子供の頃の彼女は
寂しかったのだと思います。
そしてたぶん、
今も寂しいのだ・・と
その時思いました。
私の後悔・・馬鹿で、傲慢だったから
私が馬鹿で、傲慢でした。
彼女の悩み事を
深く聞いていくうちに
心が傷だらけで辛そうな様子に
私の方が我慢できなくなりました。
彼女の寂しさを
そっとしておく事が出来なくて、
「何とかしてあげたい！」
私は傲慢にもそう思いました。
頼まれてもいないのに
彼女の寂しさについて言及し、
見たくなかったものを
無理やり見せてしまったのです。
彼女はまだ、
自分のお母さんとの歪な関係に
疑問さえ持っていなかった、
まだ解決に向けて動き出すだけの
覚悟は無かったのに・・。
本当に申し訳ない事をしました。
彼女はブログで私を攻撃した後
「大きな志が出来たから」と言って
連絡が取れなくなりました。
彼女の事を思い出す度
胸がチクリとします。
でも当時、
私が引っ掻いてしまった
彼女の心の傷は
この100倍は痛んだと思います。
考えの浅い私のせいで
彼女を もう1度、
傷つけてしまったと思います。
本当に申し訳ない事をしました。
いろんな失敗や後悔をしながら
生きて来たなあと思います。
もしも毒親との問題を
解決しよう、何とかしたい、と
思いついた人なら
必ず打開策が見つけられます。
いろいろ失敗もして来た私ですけど
失敗をしては少しずつ学んできました。
過去の自分の反省も込めて、
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