目次
鳥の不思議な鳴き声
これを書いている今、
大きな鳥の鳴き声がするのです。
ピィ・・ピィ・・ピィ・・ピィ・・
等間隔で大きな声で
今まで聞いた事の無い
鳥の鳴声です。
あまりにはっきり聞こえるので
２階に行ってみたら
さらに大きく聞こえます。
梅雨なのに小窓を１つだけ
細く開けていたのでした。
我が家の外壁はレンガを使っているので
窓の外側にもレンガの厚み分の
でっぱりがあります。
そこに・・
小さな可愛い雀が
１羽いて、
体に似合わない大きな声で
ずっと鳴いているのです。
ピィ・・ピィ・・ピィ・・ピィ・・
私が窓からのぞいた瞬間だけ
ちょっと鳴くのを止めましたが
すぐにまた
鳴き始めました。
クチバシの縁がまだ黄色い・・
子雀です。
どうしてこんな所に居るのでしょう？
我が家の軒先に巣でも有って
そこから落ちてしまったのでしょうか？
こんな独特の鳴き方は
お母さん雀を呼んでいるのかも
知れません。
ずっと鳴いています。
私は悲しくなってしまいました。
お母さん雀に手は無いから
救いあげて巣に戻す事は
出来ないでしょう。
外に出て見てみました
どうしても気になるので
家の外に回って
陰からそーっと子雀を見ていたら
自分で飛び立って行きました。
「良かった！もう飛べるんだ！」
・・ほっとしたのも束の間
また近くでピィ・・ピィ・・ピィ・・
と声がします。
声を頼りに目で追うと
子雀は隣の家の壁のでっぱりに
止まっていました。
長くはまだ飛べないようなのです。
我が家の窓にも
あんな風にして
近所の屋根を伝いながら
到着した事が分かりました。
そして相変わらず
ピィ・・ピィ・・ピィ・・ピィ
と大きな声で鳴き続けています。
どこかで巣から落ちて
戻る事が出来ずにいるのでしょうか。
飛ぶ練習をしていて
巣が分からなくなったのかも
知れないです。
お母さん雀が気づいてくれたら
良いけど・・
でもそんな大声で鳴いたら
カラスに狙われる・・
子雀はパタパタと飛んでは
また他所の屋根に移り、
またパタパタと飛んでは
別の出っ張りに移り・・
声は聞こえるけど
見えなくなりました。
出来るのは祈る事だけ
あの鳴き声は
「お母さん！」
「お母さん！」
「お母さん！」
「お母さん！」
と、お母さんを
探しているのかも知れません。
小雨が降っているから
体が冷えているでしょう。
言葉が通じないから
私が心配しているのは
雀には伝わりません。
せめてどこかで体を
乾かして貰いたいけど・・・
子雀は大声で鳴きながら
ちょっとずつ
遠くに行ってしまいました。
あの小さな雀が、
幸運に出会いますように。
人間に対しても鳥に対しても
ギリギリの命に関する事で
私達が出来るのは
祈る事だけなんだと思います。
鳴き声は、聞こえなくなりました。
強くなってきた雨が降り込むから
もう 窓を閉めます。
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